ただ、今日書きたいのは「早く終わった」自慢ではありません。その作業の中で学んだ、「数字より先に、測り方を固める」という話です。
Contents
まず結論
週末にやったことは2つです。
- 応募要項の3点確認:結果は全部○。公開済みの浅草線版も出せる、複数応募もできる——二段構えの戦略が正式に確定しました
- 精度測定の開始:ただし、いきなり測り始めたのではありません。最初にやったのは「正解とは何か」の定義を決めて、凍結することでした
そして今、手元には的中率の数字がまだ1つもありません。あるのは「これから出てくる数字が、ごまかしようのない数字であること」の証明の鎖だけ。今週の学びは、実はこの鎖のほうが数字より先で、数字より大事だ、ということでした。
ルール確認は、30分で戦略を確定させた
まず地味なほうから。前回「家を建てる前の建築基準」と書いた応募要項の確認です。心配していた3点——公開済み作品の応募可否・使うデータの条件・複数応募の可否——は、読んでみれば全部○でした。
拍子抜けするほどあっさりですが、これで「確実な1本+挑戦枠」の二段構えが、仮説から確定事項に変わりました。もし読まずに走っていたら、この確定がないまま数ヶ月を過ごしたことになります。30分の読み込みで数ヶ月分の不安が消えるなら、こんなに割のいい作業はありません。
本丸:測る前に「正解」を決める
次が本題です。ロードマップで8月の主戦場と位置づけた「精度の数値化」。応募資料の核になる「的中率○%」という数字を作る仕組みです。
ここで、過去の失敗が効きました。実は以前、精度の実測には2回失敗しています。原因はどちらも同じで、「何をもって”当たり”とするか」が曖昧なまま測り始めたこと。正解の定義が揺れると、数字は出ても意味を持ちません。都合よく解釈する余地が残るからです。
だから今回は、順番を逆にしました。まず「正解の定義」を文書に書き、変更履歴に残る形で凍結してから、測定を開始する。テストの点数を数える前に、採点基準を印刷して封筒に入れるようなものです。後から「やっぱりこれも正解にしよう」ができない状態を、先に作りました。
「証拠の鎖」——数字の正直さを、構造で示す
さらに、定義の凍結だけでなく、仕組みの側にも3つの縛りを入れました。初学者向けに性質だけ書きます。
- 定義の凍結:採点基準は測定開始前に確定し、履歴に残す。後から動かせない
- 計測は読み取り専用:成績を数える仕組みは、アプリの判定に一切影響を与えない。観測する行為が、観測対象を変えてはいけない
- テストデータの隔離:開発中に流す偽のデータが、本番の成績に混ざらないよう仕切りを入れ、混入したら気づける見張り番も置く
そして最後に「測定開始日」を記録して、鎖がつながりました。定義を凍結した記録 → 読み取り専用の実装 → 偽データの隔離 → 測定開始の宣言——それぞれが日付つきの変更履歴として、順番に並んでいます。
この鎖があると、何が言えるか。将来、応募資料に「的中率○%」と書いたとき、第三者が履歴を辿れば「数字を良く見せる操作が入り込む余地が、最初からなかった」ことを検証できるのです。数字の大きさで勝負する前に、測り方の正直さを構造で証明する。データ量では大規模な先行作品に敵わない個人開発にとって、これが持てる数少ない武器だと思っています。
ヒヤリとした話:AIのメモリは、証拠にならない
この作業の最後に、ひとつ勘違いをしかけました。測定開始の記録を、作業を任せているAI(Claude Code)が自分のメモリに保存してくれたのです。「記録した」と言われて、一瞬それで済んだ気になりました。
でも、済んでいませんでした。AIのメモリは、その道具の私的なメモ帳です。私のマシンの中にしかなく、第三者からは見えず、履歴にも残らない。会話の文脈を覚えていてくれるのは便利ですが、「いつ、何を決めたか」の証拠としては役に立ちません。
だから記録は、リポジトリのファイルに書いて、コミット(改竄しにくい日付つきの履歴)として残し直しました。教訓を一行にすると——記録は「書いたか」ではなく「誰が検証できる場所に書いたか」。AIに記録を任せる時代だからこそ、置き場所を見極めるのは人間の仕事でした。
なぜ前倒しできたのか、そしてなぜ前倒しすべきだったのか
8月の本丸が7月中に終わった理由は、振り返れば単純で、過去の失敗が全部、設計図になっていたからです。2回の実測失敗が「定義を先に」を教え、偽データの混入事故が「隔離と見張り番」を教えた。失敗の記録は、次の設計の最短ルートでした。
そして、そもそもなぜこの作業を最優先にしたか。ロードマップにも書いた原則——「後から作れないものを、先にやる」です。画面の見た目は12月からでも磨けます。でも「○ヶ月間、凍結した基準で測り続けた実績」は、時間だけが作れる資産で、後からは絶対に作れません。時計は、今日から回り始めました。
おわりに ── また「待ち」へ
これで、私の手元の仕事はまた空になりました。成績表は勝手に育ち、乱れは向こうから来て、アプリが録ってくれる。週に一度だけ数字を覗いて、あとは待つ——浅草線の店じまいと同じ、いつもの形です。
数字はまだ1つもありません。でも、これから出てくるすべての数字が「ごまかせない数字」であることだけは、もう決まっています。最初の週次レビューで何が見えるか。数字が出たら、また書きます。
個人開発 / 検証 / 測定設計 / コンテスト
このブログでは、ローカルLLM・Aider・個人開発の試行錯誤をそのまま記録しています。
